税理士試験は高学歴でないとムリ?合格と学歴の関係や必要なスキルとは

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

司法試験・公認会計士試験・医師国家試験とならび、税理士試験は難易度がほぼ最高ランクに位置する国家試験です。一般に、合格するまでに非常に時間がかかるだけでなく、一生かかっても結局合格できなかった人もたくさんいます。

では、税理士試験のような超難関資格の試験に合格するためには、やはり高学歴でないと難しいのでしょうか?これまでの学歴と関係なく、チャレンジすることは果たして無謀なのでしょうか?

本記事では、税理士試験の合格と学歴の相関性や、税理士になるために必要なスキルなどについてじっくりと解説していきます。

税理士に学歴は必要ある?

それでは早速、税理士になるためには学歴が必要なのかどうかを検証してみます。その前に、税理士試験の受験資格を確認しておきましょう。税理士になるためには、税理士試験に合格しなければなりません。そのための受験資格にある程度の学歴が必要であるかどうかをチェックしておきましょう。

税理士試験の受験資格

税理士試験の受験資格は、以下の3つに分類されています。このどれかに該当しなければ、税理士試験を受験することはできません。

  • 学識による受験資格
  • 資格による受験資格
  • 職歴による受験資格

学識による受験資格

学識による受験資格とは、学歴などによって与えられる受験資格のことです。具体的には、大学などで社会科学に属する科目を履修した者や、司法試験合格者・公認会計士試験(短答式)合格者などが含まれます。

したがって、学識による受験資格を得るためには、大卒などの学歴が必要になります。

資格による受験資格

資格による受験資格とは、日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級の合格者に対して与えられる受験資格のことです。

検定試験合格以外に求められる要件はありませんから、資格による受験資格を得るためには、大卒などの学歴はまったく必要ありません。

職歴による受験資格

職歴による受験資格とは、税理士法人や銀行などで2年以上の業務に就いていることによって得られる受験資格のことです。これも、勤務先や勤務年数以外に求められる要件はありませんから、学歴は必要ありません。

ご覧のように、「学識による受験資格」以外は、税理士試験を受験するための学歴は必要ありません。特に「職歴による受験資格」であれば、学歴に関係なく2年間勤務するだけで取得できるため、受験資格を得るためのハードルはかなり低いといえるでしょう。

税理士試験合格者の学歴

では次は、税理士試験合格者の学歴を見てみましょう。下の図をご覧ください。


引用元:国税庁ホームページ「税理士試験の受験資格の検証」より一部抜粋
https://www.nta.go.jp/about/council/zeirishi/081209/35_3.htm

税理士試験の合格者の約9割は大学卒が占めていますが、残りの1割はそれ以外の学歴が占めています。このことから分かるように、税理士試験を合格するためには、高い学歴が必要でないことが分かります。では、学歴別の合格率はどうでしょうか?


引用元:国税庁ホームページ「税理士試験の受験資格の検証」より一部抜粋
https://www.nta.go.jp/about/council/zeirishi/081209/35_3.htm

大学卒と高校・専修学校卒の合格率はほぼ変わりません。むしろ、高校卒の方が大学卒よりもわずかではありますが、合格率が高いことが分かります。

税理士に高学歴は必要ない?

ここまでの検証により、以下のことが分かりました。

  • 税理士試験の受験資格を得るためのハードルは低い(税理士法人などに勤務するだけで得られる)
  • 大学卒などの高学歴でなくても合格できる
  • 大学卒とそれ以外の学歴を比較しても、合格率に変わりはない

これらのことから、税理士試験の合格と学歴の高低にはほとんど相関性がないことが分かります。

これは、税理士試験ならではの特徴が大きく関係していると推測されます。税理士試験は全11科目中5科目に合格しなければ税理士試験合格とはなりません。ですが、科目合格制を採用しているため、一度合格した科目に有効期限はありません。したがって、自分のペースに合わせて1科目ずつ合格を積み上げていくことができます。

これに対して公認会計士試験は、短答式試験に合格しても2年間しか効力がないため、2年以内に論文式試験に合格できなければ、もう一度短答式試験から受験し直さなければなりません。こうなると、受験勉強に慣れている高学歴受験者の方が、合格に圧倒的有利となります。

こういった比較からも、税理士試験は学歴に関係なく合格できるように設計された資格試験であることが分かります。

税理士事務所への就職における学歴に代わる強み

上述のように、学歴に関係なく税理士の受験資格を取得するための最短ルートは、税理士事務所への就職です。おまけに試験合格後も税理士としてのキャリアが積めるだけに、できるだけ早い段階で就職した方が、合格までの道のりも近くなるでしょう。

では、税理士事務所へ就職するためには、どのような強みを持てば良いのでしょうか?税理士事務所へ就職するための学歴に匹敵する強みとは、以下の3つです。

  • 実務経験
  • 専門力
  • 英語力

実務経験

どこの税理士事務所でも最も必要としているのが、実務経験が豊富な人材です。過去に税理士事務所での勤務経験があれば、これほど心強いアピールポイントはありません。もちろん税理士事務所でなくても、社会に出て、何らかのプロジェクトに携わり、成果を出した経験こそが、税理士事務所には求められています。

専門力

税務に関する専門的な知識があれば申し分ありませんが、必ずしもそうでなくても大丈夫です。プログラミングや営業、保険関係の知識など何でも良いので、専門的な知識や技術があれば、その生かし方次第では十分な強みとなります。

英語力

税理士事務所のクライアントは、国内の中小企業ばかりではありません。海外に支店を持つ企業もあれば、海外法人や在留邦人が設立する日本法人などもあります。

業務上このような企業とのやり取りが行われることもあるため、英語力があればかなりの強みとなることは間違いないでしょう。

税理士になるために必要なスキルとは?

マルイシ税理士法人は、不動産税理士を中心に不動産と相続に特化した業務を行っています。私たちが考える税理士になるために必要なスキルとは、「専門」「自立」「表現」「解決」の4つです。

「専門」とは、税理士として税務知識を究めることを意味します。技術革新により、将来的に税理士業務の大半はAIに代替されるといわれています。そうした中、30年後も税理士として活躍できるためにはAIでは真似の出来ない専門性を身につけなければなりません。マルイシ税理士法人では「不動産」と「相続」に特化し、その活路を見出しています。

「自立」とは、税理士業務の一連をすべて一人で完結できる力を意味します。税理士の業務は、クライアントの新規開拓や税務相談、申告書の作成や税務調査の立会など多種多様です。これら一連のすべての作業を一人でできるようになる力が、税理士になるためには必要であると私たちは考えます。

「表現」とは、税理士として持っている専門性を表現することを意味します。単に税務業務を行うだけでなく、自らの持つ専門知識を生かして税務相談やセミナーの講演、メディアでの執筆などを行い、積極的に発信していくことがこれからの税理士には求められていると考えます。

「解決」とは、他の専門家と協力して解決する能力のことです。税理士は、時には他の税理士や他の士業(弁護士・司法書士・社会保険労務士)などと提携し、クライアントが抱える問題をともに解決していかなければならない時があります。一匹狼ではなく、チームとなって問題を解決する能力も、税理士には必要であると考えます。

マルイシ税理士法人では、これら4つの能力に加え、クライアントから受けたご相談に真摯に向き合い、汗をかいて一生懸命になれる「人柄の良さ」が税理士には必要であると考えています。

マルイシ税理士法人がクライアントに提供するサービスの質は高いですが、採用の敷居は決して高くありません。税理士を目指す志の高い方からの応募を、お待ちしています。

まとめ

税理士試験は難関国家試験のため、高学歴でないと合格できないと思われるかもしれませんが、本記事でご紹介したように実はそうではありません。学歴のある・なしに関わらず受験ができるだけでなく、その合格率も学歴とはほとんど関係ありません。

学歴を問わず「税理士になりたい!」と思われる方は、是非私たちマルイシ税理士法人にご相談ください。

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監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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