マンションを相続した場合の手続きと税金などの費用について

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

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マンションを相続した場合の手続きや相続後の活用方法、そして相続にかかる費用と税金などについてご紹介します。
マンションは一般の住宅とは違い共同住宅のため、相続税の評価方法も一般住宅とは異なり、相続後の活用方法も一般住宅とは少し違います。

相続財産には、現金預金や土地以外にもマンションが含まれている場合があります。しかし、マンションは一般住宅とは違い共同住宅のため、相続税の評価方法も一般住宅とはことなります。

また、マンションを相続した場合、相続後の活用方法も一般住宅とは少し違います。

そこで本日は、マンションを相続した場合の手続きや相続後の活用方法、そして相続にかかる費用と税金などについてご紹介します。

マンションの相続手続きの手順について

それではさっそく、マンションを相続するための手順についてお話しします。マンションを相続し、納税を済ませて登記を終えるまでの手順は以下のようになります。

  1. 相続財産の確認をする
  2. 遺産分割協議で遺産の分割方法を決める
  3. 相続税の申告と納付を行う
  4. 名義変更を行う

1.相続財産の確認をする

相続が発生したら、まずどのような相続財産があるのかを確認していきます。預貯金や株式などは通帳や証券会社の書類などから、不動産については固定資産税の納付書や権利書などをもとに、どのような財産があるのかを探していきます。

なお、相続財産には借入金などの負債も含めます。マンションのローンが残っていた場合は、基本的にこのローンの支払いも引き継ぐことになります。

2.遺産分割協議で遺産の分割方法を決める

相続財産が特定できたら、法定相続人が集まり、誰が何をどれだけ相続するのかを話し合います。話し合いにより分割方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。

3.相続税の申告と納付を行う

遺産分割協議書が作成できたら、相続税の申告と納付を行います。申告書を作成する場合、相続財産はそれぞれ相続税評価額で評価します。

なお、マンションを評価する場合には、建物と土地の部分に分けて評価します。具体的には以下のようにおこないます。

マンションの建物部分の評価額=マンションの固定資産評価額×1.0
マンションの土地部分の評価額=マンションの面している道路の路線価(1㎡あたり)×土地の面積(㎡)×(補正率)×持分割合

※区分マンションの評価は、相続税評価と市場価格の乖離が大きいと考えられていたため、
令和6年1月1日以後の相続、贈与等により取得した区分マンションについては、新たな評価方法により評価されることになりました。
これにより、以前ほどは相続税対策としての効果が期待できなくはなりました。

マンション以外の相続財産もそれぞれ評価し、申告書を作成します。そして被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に申告書を提出し、納税を済ませます。

4.名義変更を行う

相続税の申告と納付が終わったら、最後にマンションの名義を変更します。この名義変更手続きは、マンションの所在地を管轄する法務局で行います。

なお、名義変更のための手順は以下の手順で行います。

  1. 戸籍謄本や固定資産評価証明書などの必要書類を集める
  2. 相続登記のために必要な書類を作成する
  3. 法務局へ書類を提出する
  4. 登記が無事完了し、名義が変更される

マンション相続後の選択肢とは

マンションを相続した後、このマンションをどのように活用するかには3つの選択肢があります。選択肢ごとにそれぞれのメリットとデメリットをご紹介します。

選択枝① 相続したマンションに住む

相続発生前から住んでいた場合や、持ち家がなかった場合などは、相続したマンションに住むという選択肢が考えられます。

相続したマンションに住む場合のメリット

これまでも住んでいたのであれば、慣れた家に住み続けられるので引っ越しを行う必要がありません。また別の場所で賃貸住宅に住んでいたのであれば、家賃が必要でなくなるため生活費の節約につながります。

相続したマンションに住む場合のデメリット

管理費や修繕積立金、固定資産税や火災保険の加入が必要となるため、賃貸住宅ほどではないにしろある程度の毎月の支払いは覚悟しなければなりません。またマンションによっては、町内会などに入会しなければならない場合があります。

選択肢② 相続したマンションを運用する

すでに自宅を持っている場合や相続したマンションが遠隔地にある場合は、相続したマンションを貸して運用するという選択肢が考えられます。

相続したマンションを運用する場合のメリット

相続したマンションを運用する場合のメリットは、家賃収入を得られることです。また、マンションを担保に借り入れをし、家賃収入も含めて再投資を行うと、さらに運用益が上がる可能性があります。

相続したマンションを運用する場合のデメリット

空き家になってしまうと収入は得られず、固定経費だけがかかってしまいます。また不動産所得の確定申告を毎年行い、所得税・住民税の納税をしなければなりません。

選択肢③ 相続したマンションを売却する

少子化によりこの先数十年間は人口が減少し続けることはほぼ確定しています。住宅はすでに過剰供給されており、引き取り手のない空き家問題があちこちで噴出しています。それならば、売却できるうちに売却してしまうのも選択肢の一つです。

相続したマンションを売却する場合のメリット

売却すれば売却収入が入ってくるのはもちろん、維持し続けることにより必要となる諸経費を支払う必要がなくなります。

相続したマンションを売却する場合のデメリット

亡くなった方の思い出が消えてしまうのはもちろんですが、それ以外に売却して利益が出た場合には譲渡所得税・住民税(以下「譲渡税」とします)を支払うことになります。

譲渡税の計算なお、譲渡税の計算は、以下の手順に従って行います。

  1. 譲渡所得を算出する
  2. 税率をかけて譲渡税を算出する
1.譲渡所得を算出する

相続したマンションを売却した場合の譲渡所得は、以下の式により算出します。

  • 譲渡所得=譲渡収入-(取得費+譲渡費用)

譲渡収入とは、相続したマンションの売却代金のことをいいます。

取得費とは、マンションの購入価格から売却時までの減価償却費の合計額を差し引いた金額のことをいいます。

ただし、取得費が分からない場合は譲渡収入の5%を取得費とします。

最後に譲渡費用とは、マンションを売却するために支出した費用のことで、不動産会社への支払う仲介手数料などがそれに該当します。

2.税率をかけて譲渡所得税を算出する

譲渡税の税率は、売却した年の1月1日付けで5年以下の所有期間である場合を「短期」、5年超の場合を「長期」の2種類に分けます。なお、短期と長期の税率は以下のとおりです。

  • 短期譲渡税(所有期間5年以下)・・・39.63%
  • 長期譲渡税(所有期間5年超)・・・20.315%

(注)上記税率には、復興特別所得税として所得税の2.1%が上乗せされています。

また、所有期間はマンションを相続してからの期間ではなく、被相続人が購入してから売却するまでの所有期間となります。

この税率を譲渡所得にかけて譲渡税を算出します。

このように、相続したマンションを売却する場合、売却益のうち少なくとも2割、多ければ約4割を納税しなければならないため、税額もかなりの金額になる場合があります。

ただし、相続したマンションを売却する場合、条件が合えば特別控除などを利用して税額を抑えることができる場合があります。この控除が受けられるかどうかはケースバイケースのため、実際に該当するかどうかは不動産に詳しい税理士にご相談ください。

マンション相続にかかる費用と税金

では最後に、マンションを相続した場合にかかる費用についてまとめてみます。

マンションを相続した場合にかかる費用

マンションを相続すると、以下の費用が必要になります。

  • マンションの名義を変更するための費用と税金
  • マンションを相続した場合の相続税

マンションの名義を変更するための費用と税金

法務局でマンションの名義を変更するための相続登記を行う場合、登録免許税が必要になります。なお、登録免許税は不動産評価額(=固定資産評価証明書の価格)の0.4%となります。

また、この相続登記を司法書士に依頼する場合には、別途司法書士報酬が発生します。

マンションを相続した場合の相続税

マンションを相続した場合、マンションの相続税評価額をもとに算出した相続税を納税します。ただし、相続税には基礎控除をはじめさまざまな特例や控除があるため、実際にどれくらいの税額になるのかはケースバイケースです。

また、相続に詳しい税理士が各種特例や控除を利用して節税をすると、納税額が0円となる場合もあります。

マンションを相続後、そこに住んだ場合の税金

マンションを相続した後、そこに住み続けた場合には固定資産税と都市計画税を毎年支払うことになります。

固定資産税は、マンションの固定資産税評価額をもとに計算した課税標準額の1.4%、都市計画税は自治体により多少ことなりますが約0.3%となります。

マンションを相続後、運用した場合

マンションを相続後に運用した場合、固定資産税と都市計画税の支払い以外にも毎年不動産所得を申告し、所得税・住民税を納税しなければなりません。

マンションを相続後、売却した場合

マンションを相続後に売却した場合、譲渡税を支払わなければなりません。計算法とその税率については上述したとおりです。

まとめ

マンションを相続した場合、相続登記をする手続きや相続税の申告など大変な作業を行わなければなりませんが、相続手続きが終了後も複雑な作業が続く場合があります。

マンションを運用するのであれば不動産所得の確定申告が毎年必要ですし、売却するのであれば譲渡税の確定申告が必要となります。

特に相続したマンションの譲渡税の確定申告に関しては、特別控除を利用して節税をすることができる場合もあるため、気になる方は不動産に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。

「不動産と相続の専門家集団」マルイシ税理士法人

マルイシ税理士法人は、不動産オーナーの相続税申告と所得税確定申告(譲渡所得を含む)を専門としています。相続財産に自宅やアパートなどの不動産がある場合には、迷わずご相談ください。

また、相続に精通した弁護士や司法書士などの他の士業や不動産コンサルタントなどと協業していますので、相続と不動産についてもワンストップで対応が可能です。

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監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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