プライベートバンクとは?相続対策まで税理士が解説

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

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プライベートバンクとは?

プライベートバンクとは、一定以上の資産を持つ個人を対象に、総合的な資産運用を代行する金融サービスです。お金を預かる銀行と資産運用する証券会社の機能を持ち、株式や債券、ヘッジファンドなどを一括管理します。また、法律や金融の専門家と連携しており、資産額や資産運用の目的などに適した金融商品の紹介を受けることもできます。

プライベートバンクを活用するメリット・デメリット

プライベートバンクを活用せずとも、銀行と証券会社それぞれと取引する方法もあります。それでは、プライベートバンクを活用することには、どのようなメリットとデメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。

プライベートバンクのメリット

自分に合った資産運用ができる

プライベートバンクには、資産額や資産運用の目的、運用方針などに応じたオーダーメイドの資産運用を委任できます。プライベートバンクに資産運用を委任すると、年齢や家族構成、相続時にかかる税金、負債などの情報をもとに最適なプランを立ててくれます。

また、専属のバンカーが担当するため、株価暴落・高騰や為替の急激な変化が起きた際に気軽に相談できることもメリットです。信頼できるバンカーと出会うことができれば、子の代も引き続き資産運用を任せられるかもしれません。

利回りが良い

プライベートバンクのバンカーは、一般的な銀行や証券会社の担当者よりも優秀な場合があります。豊富な金融商品の中から最適な商品を提案してくれるため、高い利回りが期待できます。

投資の選択肢が多い

プライベートバンクでは、一般的な金融商品のほかに、発行数が限られている私募仕組債、災害保険に投資するCATボンドのように、取り扱いがない金融商品の提案を受けることもできます。投資の選択肢が多い分、自身にとって最適な資産運用プランを立ててもらいやすいでしょう。

プライベートバンクのデメリット

資産額によってはメリットが少ない

プライベートバンクは、優秀なバンカーが巨額の資産を適切な方法で運用してくれます。大きな利益が期待できるため、それだけ手数料が高額です。ただし、資産額が少ない場合は期待できる利益も少なくなるため、高額な手数料を支払ってまで資産運用を任せるメリットを感じにくいでしょう。

審査が必要

プライベートバンクを利用するには、審査に通過しなければなりません。資産額はもちろん、身元に問題がないことが前提条件です。また、プライベートバンクを利用している人からの紹介がなければ利用できない場合もあります。このように、厳正な審査が行われるため、それだけ申請から運用開始までには長い時間と手間がかかります。

プライベートバンクの利用方法

プライベートバンクは、単に資産運用を任せることができる機関ではありません。また、国内と海外の両方にプライベートバンクがあるため、自身にどちらが適しているか確認が必要です。プライベートバンクの利用について、押さえておきたいポイントを詳しく解説します。

相続税対策にもなる活用方法

プライベートバンクには、法務や税務の知識を持つバンカーが在籍しています。必要に応じて弁護士や税理士などの専門家も紹介してもらえるため、結果的に相続税対策になります。自分で各専門家を探すことも可能ですが、相談の際は資産について伝えなければ明確な回答を得られません。

プライベートバンクを通すことで資産状況や家族構成などが各専門家に伝わるため、手間と時間を大幅に削減できます。また、相続税を抑えることを考慮した資産運用ができるプライベートバンクもあります。

国内プライベートバンクがおすすめ

国内と海外のどちらのプライベートバンクを選ぶべきか迷ったときは、国内のプライベートバンクを選ぶとよいでしょう。その理由は次の2つです。

日本の税務法務に対応している

国内のプライベートバンクは、日本の税務・法務に対応できます。海外のプライベートバンクも対応は可能ですが、日本語によるコミュニケーションを行うことが基本的にできません。そのため、税務・法務、金融商品について説明を正しく理解することが難しいのです。

相続対策に適している

海外のプライベートバンクを選ぶと、その国の税制に従って相続する必要があります。手続きが煩雑になるうえに、自身にとって最適な国を選ぶことは困難です。また、その国のプライベートバンクを利用できるとも限りません。

なお、海外のプライベートバンクを利用しても、日本の税務当局に口座情報が把握されてしまうため、相続が有利になることはありません。

一方、国内のプライベートバンクの中には相続対策に特化した金融商品を提供しているところもあります。

プライベートバンクを活用する際に注意しておくべき事項

プライベートバンクの利用を検討する際は、失敗しないためにも次のポイントを押さえておきましょう。

紹介制でしか利用できないプライベートバンクもある

プライベートバンクを利用している人の紹介があれば審査に有利になるパターン、紹介が必須のパターン、紹介があってもなくても審査に影響がないパターンなどがあります。目当てのプライベートバンクが紹介必須の場合、紹介できる人を探すことから始めなければなりません。よほど、豊富な人脈を持つ人物でなければ、紹介者を見つけることはできないでしょう。

プライベートバンクがある金融機関を効率的に探す

プライベートバンクがあるかどうか調べる際は、資料を参考にするとよいでしょう。例えば、
国際的金融専門誌の「EUROMONEY」誌は、「Private Banking and Wealth Management Survey」というプライベートバンクのランク付けを実施しています。

それぞれの金融機関の投票によって人気のプライベートバンクがランキングされます。

プライベートバンクを利用できない場合がある

前述したとおり、プライベートバンクを利用するには厳正な審査に通過しなければなりません。資産額が十分でも、身元に問題ありと判断されると利用を断られてしまいます。例えば、前科がある人、プライベートバンクの理念に適さない人、国家機密に関与している政治か家などは、断られる可能性があります。

プライベートバンクは、資産を次世代へ引き継ぐことを理念としているところが多いため、次世代へ引き継ぐことを考えていない人は、利用を断られる可能性が高いでしょう。

まとめ

プライベートバンクは、将来の相続まで考慮した総合的な資産運用を行う金融サービスです。通常の銀行や証券会社とは異なり、今ある資産を増やすだけではなく、それらを次世代へ引き継ぐことまでサポートしてくれます。一定以上の資産がなければ利用できないうえに、身元に何らかの問題があると判断された場合も利用を断られます。

プライベートバンクには、税務や法務に精通したバンカーが数多く在籍しているため、税金対策について相談できるでしょう。また、海外にもプライベートバンクがありますが、日本語でのサポートができない場合が多いため、国内のプライベートバンクを選ぶことをおすすめします。

プライベートバンクは、資産を増やすために適した金融サービスです。多額の資産があり、専門性の高いプロに資産運用を任せたい場合は、ぜひ一度チェックしてみてください。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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