マンション一棟投資のメリットとリスク対策について

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

マンション一棟の運用は、大きな利益を生み出す魅力的な投資のひとつ。しかし、不動産投資の中でも多額の費用を要するため、赤字になったときの損失に不安を感じてしまうのではないでしょうか。しかし、投資のリスクはリターンと表裏一体。リスクが大きいほど、リターンも大きくなるのです。本記事では、マンション一棟買いのメリットとリスクについて解説いたします。

マンション一棟投資のメリット

まずは、マンション一棟投資するメリットからみていきましょう。マンション一棟投資のメリットは、以下の通りです。

  • リターンが大きい
  • 家賃収入を確保できる
  • 自由に管理や修繕ができる

ここからは、それぞれのメリットについてみていきましょう。

リターンが大きい

マンション一棟投資は、ひとつの物件から得られる家賃収入が大きいため、多額のリターンを得ることができます。

マンション1室の投資と比較してみましょう。例えば、1室あたりの家賃収入が10万円で、マンション1棟には全部で10部屋あると仮定します。

  • 1室運用の年間家賃収入 10万円×12ヶ月=120万円
  • 1棟運用の年間家賃収入 10万円×10戸×12ヶ月=1200万円

このように、マンション投資は一室所有よりも一棟所有の方がリターンが大きくなります。収益が多ければ、投資資金を回収するスピードもアップするため、投資金額が大きくても返済しやすくなります。

また、資産価値が高いほど融資では有利になります。一棟マンションは、区分マンションよりも物件評価が高いため、高額な融資を受けることも可能です。

空室リスクが低い

不動産投資には空室リスクがつきものです。当然のことながら、入居者がいなくなれば家賃収入はゼロになり、ローンの返済や経費の支払が難しくなります。

しかし、一棟所有であれば保有している部屋数も多く、家賃収入が確保しやすいのも大きなメリットのひとつです。

1室所有の区分マンション投資の場合、空室が出れば収入がゼロになってしまいます。しかし、一棟所有は10戸のうち、1室が空いても残り9室が稼働していれば、ある程度の家賃収入を得ることが可能です。

自由に管理や修繕ができる

一棟マンションは、オーナー自身が修繕のタイミングや管理方法を決めることができます。

マンションのような集合住宅では、区分所有者が共用部などに修繕をすることができないというルールが定められています。またマンション管理は、管理組合が修繕や管理方法を定めています。したがって、区分投資をしているオーナーが室内以外を勝手に修繕することができません。

しかし、一棟マンションのオーナーであれば、修繕のタイミングや管理方法を自由に決めることができます。またマンションに宅配ボックスを取り付けることや、防犯カメラの設置やオーとロックなどセキュリティ強化に励むなど、資産価値を上げるための工夫も自由に行えます。

関連記事:マンション投資のメリット・デメリットとは?失敗を避ける対策について解説

マンション一棟投資のリスク

一方で、マンション一棟投資には、以下のようなリスクもあります。

  • 資金調達リスク
  • 災害リスク
  • 流動性リスク

大きなリターンを得るために、リスクについてもしっかり学んでいきましょう。

資金調達リスク

一棟マンションを購入するためには、数千万から億単位の初期投資が必要になります。ほとんどの場合、金融機関から融資を受けることになりますが、その場合多額のローンを組むことになるでしょう。

前述したように、資産価値の高い一棟マンションであれば、融資を受けやすくはなりますが、残債が大きくなるのも事実です。また、収益が大きいほど所得税などの納税額も増えたり、修繕も大規模になったりするため、税金や維持管理費用の負担も多額になります。

収益が大きい分、赤字経営になったときのマイナスも大きくなるため、知識や経験のないまま安易に投資に手を出すことは危険です。できるだけ不動産投資の専門家のアドバイスを受けながら、一棟投資を検討しましょう。

災害リスク

近年、震災や集中豪雨が多発しており、どの地域でも防災対策が必然となしました。もし災害に巻きこまれ、地震による倒壊や豪雨による浸水被害に遭った場合は、マンションに大きな被害を及ぼす恐れがあります。

災害に遭わないような対策はありません。このような災害に備えるためには、マンション購入する前にハザードマップなどを参考にして、物件を選ぶ必要があります。耐震強化をしたりや損害保険をかけておくなどして、被害時のリスクを軽減させる対策を講じておく必要があります。

流動性リスク

流動性とは、換金(売却)しやすいかどうかです。一棟マンションは価格も大きいことから、買い手がつきにくい傾向にあります。一棟マンションは売るに売れない状況に陥いることもあり、区分マンションよりも流動性が低いと言えます。

もしも、売却益(キャピタルゲイン)を狙うときは、買い手がつきやすい立地条件のいいマンションを狙いましょう。

マンション一棟投資を成功させるために必要なこと

マンション一棟投資を成功させるためには、想定されるリスクをできるだけ軽減させておく必要があります。そこで、マンション一棟投資を成功させるために必要なことを2つ解説いたします。

綿密な収支計画を立てる

多額の購入費用をどう準備するのか、毎月の経費やいざというときの修繕費用等をどのように捻出するのか、収支計画を立てましょう。家賃収入からローンの返済や経費を差し引いた収支のことを「キャッシュフロー」と言います。

キャッシュフローは「収入-支出」で求められます。キャッシュフローのプラスが大きければ、ローンの繰り上げ返済に充てたり修繕費用に使ったりするなど、有利に投資を進めることができるでしょう。

収支計算は個人で行うよりも、専門家に依頼した方がより正確な数値を算出できます。不動産に強い税理士に相談するのも、有効な方法もひとつです。

不動産投資の専門家と付き合う

マンション投資のリスクを軽減させるためには、立地条件や物件の詳細など、事前のリサーチが重要です。また、金融機関で多額の融資を受けるためには、不動産会社などの後押しも欠かせません。

しかし不動産投資の経験が少ない場合、自分で物件の状況を見極めることはとても困難です。また、金融機関からの信頼も得づらく、一棟マンションを購入することさえ難しいかもしれません。

このような状況を打破するためには、不動産投資のプロの協力が不可欠です。収益物件の取り扱い実績が多く、金融機関からの信頼も厚い不動産投資会社を見つけ、投資のバックアップを受けましょう。どんな物件があるか情報収集がてら、不動産会社を回ってみるのも、ひとつの手段です。

まとめ

マンション一棟投資は、区分投資と比べてリスクも大きい反面、リターンも大きい投資です。不動産投資家として大きくステップアップしたいのであれば、こうした高額の収益物件に投資したいものです。

ただし、購入資金や経費も多額になるため、無計画に一棟マンション投資に手を出すのはリスクが大きいと言えます。投資リスクを少なくするためには、購入前に物件の現況を見定めることが重要です。
前にげんきょうに条件の現状現状を見定めるチカラが必要です。

まずは、信頼できる不動産投資会社に相談し、運用計画を立てみることから始めましょう。
どの不動産会社に相談していいか分からない場合には、不動産に強い税理士やコンサルタントなど、他の専門家からの紹介で相談するのも一つの方法です。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

税理士紹介はこちら

  • ページタイトルと
    URLがコピーされました