不動産投資の相談はどの専門家にすべき?【目的別】相談相手

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

不動産投資をしたいけれど、「はじめに誰に相談すればよいかわからない」という人もいらっしゃるでしょう。不動産投資の目的はさまざまです。そして、その目的に応じて、相談すべき相手が変わってきます。「あなたが相談すべき相手」「相談によって得られること」などについて解説します。

【目的別】はじめに相談すべき相手は?

不動産投資の主な目的と、はじめに相談すべき相手は次の通りです。

  • 所得税や相続税の節税がしたい
  • →税理士にまずは相談

  • 生命保険のような機能(団信)を利用したい
  • 子供の学費を不動産投資で捻出したい
  • 将来の私的年金をつくりたい
  • →ファイナンシャルプランナーや信託銀行に相談

  • 収益物件の選び方や運用方法を知りたい
  • →不動産投資会社に相談

まず不動産に強い税理士に相談して、士業から信用のあるファイナンシャルプランナーや不動産投資会社を紹介してもらうのもいいでしょう。
それぞれの専門家に相談すると、どのようなことがわかるかを見ていきましょう。

不動産投資による節税の相談をしたいときの専門家「税理士」

不動産投資で「相続税や所得税の対策でしたい」という高所得者や資産家は、税理士にはじめに相談するのがよいでしょう。

税理士に相談すると何がわかる?

税理士に不動産投資のことを相談することで次の内容が明確になります。

  • そもそも不動産投資が本当に必要か
  • (必要だとしたら)どんな種類の不動産がベストか
  • 実際にどれくらい節税できるか
  • 不動産投資による節税をするにあたって注意点はないか

 など

上記のうち、1つ目の「そもそも不動産投資が本当に必要か」がわかるのは、税理士に相談する一番のメリットといえるでしょう。

これがもし、不動産投資会社にはじめに相談すれば、不動産投資ありきの流れで話が進んでしまいます。税理士に相談することで、収入や資産規模に応じて「そもそも不動産投資が本当に必要なのか」「それ以外の税金対策は必要ないのか」なども含めてアドバイスをしてもらえます。

「どの種類の不動産を選ぶとベストか」がわかるのも大きい

税理士にはじめに相談することで、「どの種類の不動産を選ぶとベストか」がわかるのも大きいです。もし、はじめに相談する相手が不動産投資会社であれば、その会社が得意にしているジャンル(例:区分マンションやアパートなど)の商品を提案されます。

税理士にはじめに相談すれば、資産状況・目的・リスクなどをもとに、客観的な視点からその人に合ったジャンルを勧めてもらえます。

ご参照までに、相続税の節税効果が高い代表的な不動産投資といえば、一般的には都心の高級マンションやタワーマンションといわれております。また、所有地にアパートを建てる選択もあります。あるいは、利便性の高い土地を仕入れて低層マンションを建築するケースもあります。

相談する税理士を選ぶポイントは?

税理士には、それぞれ得意分野があります。中小企業の経営に強い税理士もいれば、大企業に特化した税理士もいます。また特定の産業で実績のある税理士もいます。当然ながら、節税を目的に不動産投資をする場合、「不動産と相続を専門とする税理士」に相談しないと意味がありません。

たとえば数多くの税理士のなかから、「不動産と相続税を専門とする税理士」を選ぶには、次の方法があります。

  • 「不動産 相続 税理士」のキーワードで検索してみる
  • 「不動産と相続」をテーマにした税理士主催のセミナーを受けてみる
  • 「不動産と相続」「不動産と税金」などをテーマに本を執筆している税理士に相談してみる
  • 不動産投資(賃貸経営)の専門誌やサイトにコラムを執筆している税理士に相談してみる

不動産投資で将来設計をしたいときに相談すべき専門家「FP」「信託銀行」

不動産投資で「私的年金をつくりたい」「加入する保険を減らしたい」人は、ファイナンシャルプランナーや信託銀行にはじめに相談するとよいでしょう。

ファイナンシャルプランナーに相談すると何がわかる?

ファイナンシャルプランナーは、ライフプラン設計や家計見直しの専門家です。収入・出費・貯蓄・保険など、さまざまな要素をもとに、その人のベストのライフプランを提案してくれます。

ファイナンシャルプランナーのなかには、不動産投資の知識が豊富な人もいます。そういった専門家に不動産投資を交えたライフプラン提案してもらうとよいでしょう。

信託銀行に相談すると何がわかる?

信託銀行とは通常の銀行の業務に加えて、個人や企業の財産の運用・管理をサポートする機能を持った金融機関です。とくに資産が多い人と相性のよい金融機関といえるでしょう。

信託銀行は結婚・子育て・教育・相続など、人生のさまざまなシーンに合わせた商品を取り扱っています。なかには、顧客が所有する不動産の管理や新規の不動産投資をサポートすることを得意にしている信託銀行もあります。

物件の選び方や運用方法を知りたいときに相談すべき専門家「不動産投資会社」

最短で不動産投資をはじめたい人は「不動産投資会社」に相談するとよいでしょう。

不動産投資の始め方や基礎知識について知りたい方は、まず「不動産投資とは?初心者のための始め方を徹底解説」を御覧ください。

情報収集をした上で不動産投資会社に相談するとスムーズ

「不動産投資をはじめたい」からといって、やみくもに不動産投資会社に相談するのはお勧めできません。なぜなら不動産投資会社と一口にいっても、それぞれ得意なジャンルがあるからです。ジャンルの一例は、中古・新築・区分・一棟・都心・地方……などです。

一般的な不動産投資会社は、これらのジャンルのうち、どれか1つに特化しています。たとえば、新築区分マンションに特化している不動産投資会社は、中古の一棟物件の実績がほとんどないといった具合です。

そのため、まずは本やネットで不動産投資の情報収集をして、「どのジャンルが自分に向いていそうか」を見極めることが大切です。その上で、対象のジャンルを得意にする不動産投資会社を何社かピックアップして相談するのがスムーズです。

収益物件の購入から運用までフォローしてくれる不動産会社が多い

不動産投資会社に相談するメリットは、すぐに候補となる収益物件を紹介してくれることです。ある程度の年収があれば、金融機関の紹介や仮審査の手続きなども丁寧にフォローしてくれるでしょう。

また、収益物件を販売する不動産投資会社は、購入後の賃貸管理サービスを提供しているケースも多いです。こういったタイプの不動産投資会社をパートナーに選べば、収益物件の購入から運用までワンストップでフォローしてもらえます。

不動産投資会社を選ぶポイントは?

不動産投資会社を選ぶ上でやってはいけないことは、営業マンの印象でパートナーとなる不動産投資会社を決めてしまうことです。営業マンとの相性も大切ですが、それ以前に不動産投資会社が長期にわたって資産運用をしっかりバックアップしてくれるかが重要です。

不動産投資会社の信頼性を精査するには、下記の項目をチェックするとよいでしょう。

  • 資本金、社員数、社歴などの基本情報
  • 過去の成約件数はどれくらいか
  • 賃貸管理サービスを提供しているか
  • 提供している場合、管理物件の平均空室率(または稼働率)はどれくらいか

 など

チェック項目はあくまでも一部です。少しでも気になることがあれば何でも質問していきましょう。いずれにしても、不動産投資会社の能力を数字で捉え、比較することが大切です。

不動産投資会社への相談時に注意すべき点

不動産投資に関することをネットで調べるとネガティブな情報も数多く検索されます。これは、不動産投資会社の選び方を間違ってしまった結果です。とくに避けたいのは次の2点に該当する不動産投資会社です。

メリットしか言わない不動産投資会社に要注意

不動産投資に限らず、すべての投資にはメリットだけでなくリスクがあります。メリットだけを伝えてくる不動産投資会社は、顧客に正しい情報を提供していません。後々、トラブルになる確率が高いため避けるべきでしょう。

営業の押しが強い不動産投資会社に要注意

不動産投資は高額商品のため、当然ながら慎重に選択することが大切です。にもかかわらず、「今、決断しないと他の投資家に抑えられてしまう」「このチャンスを逃したら後悔する」といった具合に営業の押しが強い不動産投資会社とは付き合うべきではないでしょう。あくまでも最終決断をするのは投資家自身なのです。

不動産案件を「たまに扱う」と「特化している」では雲泥の差

筆者自身、不動産と相続を専門にする税理士ですので、「相談できる相手としての税理士」の部分について補足したいと思います。大半の税理士が相続や不動産に関する案件を「ごくたまに扱う」というケースがほとんどではないでしょうか。

こういったケースでは、税理士が最新の情報を調べつつ何とかこなしているのが実情です。「たまに相続や不動産案件を扱っている税理士」と「不動産と相続に強い税理士」とでは雲泥の差があります。

やはり、不動産投資による節税メリットを最大限に活かしたいなら、専門性の高い税理士を選ぶべきでしょう。ただ「不動産と相続に強い税理士」はごく一部です。なかなか見つからない場合は、監修をしているマルイシ税理士法人にお気軽にお問い合わせください。

まとめ

ここでは、不動産投資の目的によってはじめに相談すべき専門家が変わることについて解説してきました。「不動産投資をはじめるなら不動産投資会社に相談する」という考え方が一般的かもしれませんが、目的によってはワンクッションを挟んで、別の専門家に相談した方がよいケースもあります。

「不動産投資をはじめたものの、目的が達成できない」では意味がありません。あくまでも、目的達成のために不動産投資があるということを意識してパートナーや物件選びを進めましょう。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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