土地売却の流れと注意点とは?知っておきたい費用や税金について解説

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

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土地を売却するときには、建物があるかどうか境界線はどこかなど、注意すべき点がいくつかあります。事前に土地売却の知識を学んでおかないと「想像以上に費用がかかった」「隣人とトラブルになってしまった」なんてこともあります。そこで本記事では、土地売却の流れと期間、そして売却するときの注意点について解説いたします。これから土地を売却したいとお考えの人は、ぜひ参考にしてください。

土地売却を行う理由

まずは「なぜ土地を売却したいのか」という理由を明確にしていきましょう。土地売却の理由をハッキリさせることで、これからの売却戦略が違ってきます。

例えば、自己資金を増やすために土地を売却したい場合、できるだけ高く売却するための戦略が必要です。また、相続した土地を資産整理するために処分したい場合、状況次第では早期売却の必要があるケースもあります。

住み替えによる売却

家族が増えた、またはお子さんの成長にあわせてより広く大きい家に住みたいとき、これまでの土地を売却し利便性の高い土地を購入するケースです。

住み替えによる土地売却では、新居を探しながら売却していく必要があります。

家族やライフスタイルの変化

転職や転勤、進学など、ご家族のライフスタイルが変化したため、土地を売却したいと希望する人もいます。また、高齢のために老人ホームへ転居するため、住み慣れた土地を処分するケースもあります。

こちらも住み替え同様に、新居を探しながら売却を進めていかなければいけません。

相続財産の整理

相続した建物を処分するため、土地ごと売却するケースもあります。現金化すれば遺産を分配しやすくなりますし、売却したお金を相続税の納税に充てることも可能です。

相続した土地を売却するときは、相続人の間で遺産分割協議を先に行う必要があります。

離婚による財産分与

離婚により財産分与をしたい、遠方に引っ越したいなどの理由で土地を売却する人も少なくありません。相続した土地と同様、売却して現金化すれば財産分与をしやすくなります。

住宅ローンの返済不能

住宅ローンが滞ったとき、返済のために任意売却をするケースもあります。任意売却とは、住宅ローンが残ったまま建物や土地を売却すること。ローン残債があるときには、金融機関と売却手続きを進めていかなければいけません。

土地売却の流れと期間

では、実際に土地を売却する場合にどんな手順で売却手続きを進めていけばいいのでしょうか。ここからは、はじめての人でも迷わないように土地売却の流れについて紹介していきます。

土地売却の流れ

土地売却の流れは、以下の手順で行われます。

step1 情報収集
step2 土地の査定
step3 不動産会社との媒介契約
step4 売却活動
step5 決済と引き渡し

それでは、それぞれの手順について詳しく解説していきます。

step1 情報収集

まずは、土地を「どうやって売るか」「どのように売るか」を知るために情報収集からはじめましょう。「いくらで売れるか」も大切ですが、土地には所有権や借地権のような権利のほか、隣地との境界線や建物の処分方法など、様々な問題が複雑に絡み合うことがあります。

法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)や地積測量図などを取得して、土地面積や境界線などを調べたりすることが、スムーズに売却するために必要なことです。土地の情報を整理し、売るために何をすべきか確認していきましょう。

step2 土地の査定

ある程度、情報が整ったら不動産会社などで土地の査定を行いましょう。複数の会社に査定依頼して各社の査定結果を比較すると、より土地の相場を詳しく知ることができます。

査定時に土地の所有状況などを質問されます。このときに、土地について知っている情報や登記の情報を提供しましょう。正確な情報が多いほど、詳細な査定額が算出されます。

step3 不動産会社との媒介契約

査定結果をうけ、信頼できる不動産会社が見つかれば媒介契約を結びます。この媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼するための契約のこと。不動産会社に土地を売却するための契約ではないため、注意してください。

媒介契約を交わすときは、今後どのような売却活動を行うのか、報酬金額はどのくらいなのかをきちんと確認しましょう。

step4 売却活動

売却活動では「売り出し価格の決定」「土地情報の宣伝」「購入希望者との価格交渉」などを行います。査定価格を基に、周辺土地の売却価格や売却した事例を参考にし、売れやすい土地の価格を決めていきます。

土地の売却価格を決めたら、チラシや情報サイトに土地の情報を開示し、売却活動をはじめます。その後は不動産会社の仲介のもと、購入希望者と価格や条件を調整していきましょう。

step5 決済と引き渡し

買主との条件交渉が済んだら、売却契約を締結します。売買契約書や重要事項説明書は不動産会社が作成してくれますので、売却契約に必要な登記事項証明書や固定資産税評価証明書などは、自分で用意しましょう(委任状により代理取得してもらうこともできます)。

売買契約が済んだら、売買代金の受け渡し(決済)と所有権移転(引き渡し)を行います。決済と引き渡しは同日に行うことがほとんどのため、売主と買主の都合が合う日を決めていきましょう。

土地売却の期間

ご家族の事情によっては、売却にあまり時間をかけられないこともあります。そこで、土地売却の流れと売却までにかかる期間を把握し、引っ越し予定日までの期間を逆算しながら、売却手続を進めていきましょう。

ここまで紹介してきた売却の流れと目安となる期間を以下の表にまとめます。

手順    期間     期間の理由
step1
情報収集
step2
土地の査定
1~4週間 不動産会社を選ぶときに時間がかかる
また、登記事項証明書などを取得するのに1~2週間かかることも
step3
媒介契約
step4
売却活動
1~3ヶ月 購入希望者との価格交渉に時間がかかるため、少なくとも3ヶ月はかかるとみておく
step5
決済と引き渡し
1~2ヶ月 買主のローン審査に時間がかかることも

一般的に土地売却までは、トータルで約半年の時間が必要です。引っ越し日が確定している時はもちろんのこと、まだ引っ越すかどうか確定していないときでも、早めに行動しておくことが大切です。

土地売却にかかる費用と税金

土地を売却すると、税金がかかります。売却した年については確定申告が必要となる可能性がありますので、売却にかかる費用と税金を知っておきましょう。

土地の売却にかかる税金は、以下の通りです。

名 称 詳 細 金額の目安
印紙税 売買契約書に貼る印紙代 1~6万円程度
登録免許税 抵当権抹消時に支払う 1~2万円程度
譲渡所得税・住民税 土地の売却利益にかかる税金 利益の20%又は40%程度

譲渡所得税・住民税の計算に欠かせないのが、売却費用。売却にかけた費用分は売却利益から差し引くことができ、納税額を抑えることができます。

名 称 詳 細 金額の目安
仲介手数料 不動産会社に支払う成功報酬 売却代金の3%程度
解体費用 建物の解体費用 100~200万円程度
測量費用 土地の面積や境界線などを明瞭化 30~50万円程度

ケースバイケースですが、土地の面積や売却金額によっては100万円以上の税金や経費が必要になることもあります。売却代金は丸ごと手元に残るわけではありませんので、事前にどのくらいの支出があるのか、チェックしておきましょう。

土地を売却する際に知っておきたい注意点

個別事情や相場などが複雑に絡み合う不動産売却は、トラブルがつきものです。「思ったより高く売れなかった」「直前になって売却をやめたくなった」などとならないように、売却するときの注意点について把握しておきましょう。

査定は価格だけでなく根拠も重視する

不動産会社が提示する査定額が、常に正しいとは限りません。業者の中には、自社と媒介契約してほしいがために、相場よりも高い金額を提示してくることもあります。媒介契約を取れれば仲介手数料に繋がりますので、「何が何でも契約を取りたい!」とゴリ押ししてくる担当者もいます。

このような営業方法に引っかからないためにも、「なぜこのような価格になったのか」という査定額の根拠も確認しましょう。また他社と査定額を比較する相見積もりを取ることも重要です。売主自身でも査定額をきちんと検討する努力をしましょう。

停止条件付売買契約には要注意

契約の中には「停止条件付契約」というものがあります。これは「もし転勤が決まったら売却契約をする」など、一定の条件が揃ったときに契約を進めることができる契約です。

もし、条件が整わなかった場合はペナルティ無しで解約できるため、家族の事情により売買契約が左右されるのであれば、こうした停止条件付売買契約も検討できます。ただし、停止条件付売買契約は買主に敬遠される可能性もあるため、不動産会社の担当者とよく話し合ってみてください。

まとめ

土地を売りたいと思ったら、まずは売却予定地の土地の情報を収集することからはじめましょう。また、売却する目的によって、その後の売却戦略も変わってくるため、「なぜ売りたいのか」を明確にし、その目的達成のためにサポートしてくれる不動産会社を見つけることが重要です。

「売りたい」と考えてから売却に至るまでに、最短でも半年程度の時間がかかります。ご家族の都合で引っ越し日が確定しているのであれば、余裕をもった売却活動を進めていきましょう。

土地の売却は想像以上に大変です。このページで紹介してきたことを参考に、後悔しないように売却計画を立ててください。

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監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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