底地の売買価格の相場はどのくらい?プロが教える注意点も解説

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

不動産に強い税理士をお探しの方へ
不動産税務に特化している税理士事務所
マルイシ税理士法人に相談してみませんか?

相続が発生して相続税申告が必要な方について、マルイシ税理士法人では面談相談(初回無料)を行っています。
累計1万件以上の相談実績のある相続専門の税理士が、個別の案件ごとに見解やアドバイスをお伝えします。
記事では書ききれないような、具体的な実務上の取り扱いなどもお話しできますので、お気軽にお問合せください。

底地の買取相場とは

借地権や地上権が設定されている土地のことを底地と呼びます。
借地権を設定している土地は第三者に貸しているため、当然のことですが自由に土地を使いう使うことができません。
自由に使うことができない土地のため、底地は通常の土地に比べて売買価格が大幅に下がります。

底地の売買価格が下がるのには理由が2つあります。
1つ目の理由が 「土地を自由に使えないこと」です。
一般個人が底地を購入しても土地は貸し出されているため、自分の建物などを建築することができません。
そのため、底地を購入するメリットがある人は少数となってしまいます。
不動産は需要が低ければ価格が下がるため、底地の価格も下がるということです。

そして、2つ目の理由が 「底地を購入するのは不動産会社になる」ことです。
前述のとおり、一般個人が底地を購入することはあまりありません。
しかし、不動産会社は底地を購入することで借地権者を立ち退かせたり、借地権者が立ち退くまで待ったりして利益を確保します。
不動産会社はこのようなことができるため、底地でも買い取りをおこないます。

しかし、不動産会社は利益を上げることを目的として底地を買い取るため、買取価格は低くなってしまいます。

この2つの理由により底地の価格は低く設定されて取り引きされることになります。

底地の買取価格の計算方法

それでは底地の買取価格はどのように算出しているのでしょうか。
底地の買取価格の算出方法はいくつかありますが、ここでは代表的な底地の評価額の計算方法を利用します。

底地の評価額を計算する代表的な方法は、路線価を利用する方法です。
路線価とは国税庁が公表しているもので、土地の相続税を算出するのに用いられる価格です。

この路線価には、各都市の道路に基準となる評価額と記号が記載されています。
記号は借地権割合を占めすもので、A~Gまで割り振られ、Aは借地権割合が90%、Bは借地権割合が80%と10%ずつ低下していきます。
最後の記号であるGだと30%という数字になります。

評価は㎡単位で評価額が記載されています。

ここからは、シミュレーションを用い具体的に底地の評価額を計算していきます。

底地の評価額を計算するための計算式は次のとおりです。

底地の評価額
④底地の評価額 = ①自用地の面積 (㎡)× ②自用地の評価額/㎡ × (1 – ③借地権割合)

【シミュレーション例】
①自用地の面積300㎡
②自用地の評価額10万円/㎡
③借地権割合60%

①300㎡ × ②10万円/㎡ × (1 – ③0.6(60%)) = ④1,200万円

シミュレーション例で計算した底地の評価額は1,200万円となりました。
不動産会社はこの計算結果をもとに利益が出るのかを確認します。
そして、計算した評価額のままでは、利益が出ないと判断すると計算結果よりも低い金額を提示してくることもあります。

底地の買取価格の相場は安い?

計算のとおり、底地の買取価格の相場は安くなります。

しかし、一般個人が底地を購入することがあまりなく需要が低い不動産であることを考えると、底地の買取価格が安いのは仕方がないことだと言えます。
感覚としては引き取ってもらうという感覚に近いと思ったほうが良いでしょう。

底地は売却がおすすめ?

底地を所有していて借地料が多く得られる場合は別ですが、基本的に底地は売却するなど手放した方が良いと言えます。
底地を手放したほうが良いという理由を、理由ごとに説明していきます。

借地権者とトラブルになりやすい

底地の所有者と借地権者は基本的に相反することを考えているため、関係性が悪くなることがあります。
例えば、底地の所有者は借地料を上げて欲しいと考えるしょうし、借地権者は借地料を安くしてほしいと考えます。
このような基本的な考え方が違う両者が関係を続けていくと、ちょっとしたことでよく関係性が崩れてしまいます。

相続人とトラブルになりやすい

底地は一般的に賃料が安く、固定資産税の納税分も賄えないことがあります。
また、普通借地で貸してしまっている場合底地の所有者からは、原則、借地権の解除を求めることもできません。

このように底地は支出だけ発生し、トラブルも引き起こし、ずっと自分で利用できないという不動産の扱いになってしまいます。
このような扱いになってしまった不動産を誰が相続するのかでトラブルに発展するケースが多く見られます。
また、相続人全員で底地を共有しようということに反対する相続人も出てくるかもしれません。

相続税が多く課税されることが多い

先ほどシミュレーションで計算した方法は底地の評価額を表すのと同時に、相続税を計算するための評価額としても利用します。
相続税の計算は評価額を元にして計算をしますが、底地の実勢相場は算出した評価額よりも低くなります。
前述したように不動産会社は評価額を算出してから、実際に評価額で買い取って利益が出るのか試算します。
この試算の結果、ほとんどのケースで評価額よりも低い買取価格となります。

そのため、相続税の評価額のほうが、不動産会社の買取価格(実勢相場)より高くなってしまいます。
実勢相場よりも高い評価額で相続税を計算されてしまうため、他の不動産のように相続税対策になりにくくなります。

底地の売却方法とは?

底地を売却するときには、手順を踏んで売却します。
それはなぜかと言うと、購入者の属性によって売れる金額に違いが出るためです。
なお、属性とはその人の立場であり、今回のケースでは借地人、専門業者(不動産会社)、第三者です。

売却を持ち掛ける順番としては、借地人、専門業者、第三者という順におこなっていきます。
この順序で折衝していく理由を説明していきます。

借地人へ売却する

一番始めには借地人へ底地を購入しないかと折衝を持ち掛けます。
借地人は底地を購入することにより、土地と建物を所有することができます。
つまり、完全なる権利を手に入れることができるということです。

借地人が底地を購入するメリットは大きいため、借地人はどの属性の人よりも底地を高く購入してくれる可能性があります。
また、借地人とはすでに知り合いであるため、折衝がしやすいという面もあります。
ただし、借地人と折衝する場合でも、あらかじめ不動産会社に折衝を代行してもらうようにしておきましょう。
底地の売買は専門性が高く、不動産を仕事にしている人でないと対応できない可能性が非常に高いような折衝となります。

専門業者へ売却する

借地人に売却の話をしても、購入を検討してくれない場合は専門業者に買い取りを依頼します。
専門業者により買い取りはすぐに現金化できるというメリットがありますが、一方で買取金額は安くなるというデメリットもあります。

このデメリットを緩和するために、専門業者により買取価格の見積もりを複数社から取得するようにしましょう。
専門業者から多数の買い取りの見積もりを取得し、一番良い金額の専門業者と、一番良い条件提示をしてきた専門業者、どちらに買い取りをしてもらうのか検討します。

第三者へ売却する

借地人に売却を持ち掛けても、専門業者に売却を持ち掛けても進まない場合は、第三者に購入してもらうよう動きます。
この場合は、不動産仲介会社に買い手の探索を依頼します。

ただし、第三者はよほど賃料が高くないと底地を購入することがないため、売却金額の低さや売却できるまでの期間の長さについては、覚悟して売却をしていくことが重要となります。

底地の買取・売却時の注意

底地を買い取ってもらうなど、底地を売却するときには注意しなければならないことがあります。
底地を売却するときに注意しなければならないことと、注意すべきことをどのように解決していけば良いのかを紹介していきます。

買取時の交渉にはプロのサポートを

底地を不動産会社に買い取ってもらう場合でも、不動産仲介会社という交渉のプロを入れたほうが良いでしょう。
底地の買取価格相場は把握しにくく、直接不動産買取会社と買い取りの話をしていると、話を鵜呑にしてしまい安い金額で底地を売却してしまう可能性があります。

しかし、不動産仲介会社が交渉に当たれば、買取価格が安いのか高いのか判断できるため、買い叩かれる心配を無くすことができます。

トラブルにならないよう条件等は明確にしておく

底地を売却するときには、トラブルにならないよう条件等を明確にしておくことが大切です。

条件を明確にする相手には、購入希望者だけではなく借地人も含まれます。

例えば、土地を売買するときには測量が必要になります。
測量をするには敷地に立ち入る必要がありますが、場合によっては建物の中を通らなければ測量をすることができないことがあります。
このようなときに、借地人に対しても底地を売却するときに測量をするため、測量に協力して欲しいと折衝をし、地主から測量に協力する承諾を得なければなりません。

このように、底地を売却するときには、買主だけではなく借地人にも影響を与えてしまうため、トラブルがないよう条件等を明確にしておく必要があります。

まとめ

底地は借地権の付いていない土地と異なり、自由に土地を利用することができません。
このことにより、一般個人の買い手が見つかりにくく、基本的には不動産買取会社に底地を買い取ってもらうことになります。

買取価格は不動産買取会社の規定によって計算されますが、借地権の付いていない土地の価格と比べるとかなり安い金額になります。
そのため、複数の不動産買取会社から底地の見積もりを取得したり、不動産買取会社との折衝を不動産仲介会社に折衝を代行させたりし、なるべく底地を高く売却するようにしましょう。

また、不動産仲介会社に底地売却の折衝をしてもらうことにより、買い手や借地人とのトラブルを防止することができます。
底地の売却は底地のプロに任せるのが、上手く売却するコツです。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

税理士紹介はこちら

  • ページタイトルと
    URLがコピーされました