税理士に向いている人とは?不動産税理士事務所が考える理想像

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

バブル経済崩壊後長期間続いたデフレは世界的なエネルギー価格の高騰や急激な円安により反転し、給料が上がらないまま物価だけが上がり始めています。少子高齢化による国力低下は今後ますます進むことが予想される中、景気が良くなる兆しは残念ながら一向に見られません。

こうした不安定な状況下で、今人気の職業として脚光を浴びているのが「士業」です。士業の中でも特に税理士は、顧問先からの定期的な収入が見込めるため売り上げは安定しており、頑張り次第ではさらに上を目指すこともできます。

しかしながら、誰もが税理士に向いているわけではありません。時には、非常に高度な専門知識を屈指しながら、針の穴に糸を通すような難易度や精度の高い作業が求められるケースもあります。

そこで本日は、私ども不動産税理士事務所が考える税理士として理想的な人物像について、解説していきたいと思います。

税理士の適正とは?

税理士として業務を行うためには、税理士になるための国家資格を取得しなければなりません。しかし、国家資格を取ったからといって、誰もが税理士として活躍できるわけではありません。

税理士としての適性の有無が、税理士としての今後を大きく左右します。その適正が、以下の3つです。

  • 学ぶことが好きな人
  • 几帳面な性格の人
  • コミュニケーション能力が高い人

学ぶことが好きな人

税理士になるためには、一般的に、超難関試験として有名な税理士試験に合格しなければなりません。また合格後も税法は毎年のように改正されるため、常に新しい知識を身に着けるための勉強をし続けなければなりません。

したがって、税理士の適性として第一に求められるのは、「学ぶことが好きな人」と言えます。

几帳面な性格の人

税理士は、税に関するプランニングや具体的な税額の算出を業務として行います。金銭に関わることであるだけに、1円たりとも間違うことはできません。そのためには、慎重に計算した上で、何度も何度も検算をして絶対に間違いが起こらないようにしなければなりません。

ですから、適性の二つ目として挙げられるのは、「几帳面な性格の人」と言えます。

コミュニケーション能力が高い人

税理士は、暗い部屋の中で黙々と条文を読んだり申告書を作成したりしているわけではありません。顧問先の経営者と密に連携し、会社を発展させていくためのサポートを経理面や経営面から行っています。

そのため、コミュニケーション能力が高い人であることが望まれます。これが税理士に求められる三つ目の適性です。

税理士に求められるスキルとは?

適正に次いで、税理士に求められるスキルについて解説します。これから税理士となり業務を行う上で、顧客からもっとも求められるスキルは、以下の3つです。

  • 経営学
  • 提案力
  • 国際的な節税知識
  • 語学力

経営学

顧客が税理士に求めるのは、単なる申告書の作成や税金の計算だけではありません。税理士ならではの専門的な知識や幅広い知見をもとに、客観的な視点から、会社をどのように経営していくべきかをアドバイスする役割が求められます。

顧客の経営状況を十分に理解したうえで、参謀的な役割が果たせるだけの経営学に関する知識やスキルを持つことが求められています。

提案力

税理士は、聞かれたことに対して正しい答えを返すだけでなく、時には積極的な提案を求められることがあります。顧客の経営状況を正しく把握できていれば、節税のプランニングはもちろんのこと、設備投資のタイミングや従業員の増員、資金調達の方法などの提案ができるようになります。

このように、顧客に寄り添った提案を積極的に行い、信頼を積み上げていくことが求められています。

国際的な節税知識

税理士に求められているのは、日本の税法だけではありません。中小企業でさえ海外進出を行うようになった昨今では、顧客のニーズに応じるために進出先の国の税法も理解しておくことが求められています。

また、国際的な視野を拡大させ、多国間での節税知識が必要となります。

語学力

上述のような国際的な視野や節税知識を身につけ、海外拠点の現地採用者と業務を行ったり、諸外国の会計事務所と連携しながら業務を行ったりするためには、日本語以外にも英語などの語学力が必要となります。

場合によっては中国語やフランス語なども必要になるため、語学力はこれからの税理士にとって大きな武器になります。

税理士になるためには

最後に、税理士になる方法について解説します。税理士になるためには、基本的に税理士試験に合格しなければなりません。

税理士試験の仕組みについて

税理士試験に合格するためには、会計2科目税法9科目の合計11科目中5科目に合格しなければなりません。ただし、任意の5科目を選択するのではなく、必修科目や選択科目などが以下のように定められています。

  • 必須科目・・・簿記論、財務諸表論
  • 選択必須科目・・・所得税法または法人税法のいずれか1科目(両方でも可)
  • 選択科目・・・相続税法、消費税法または酒税法、国税徴収法、住民税または事業税、固定資産税

たとえば、必須科目として簿記論・財務諸表論、選択必須科目として法人税法、選択科目として相続税法と消費税法の合計5科目に合格すると、税理士試験に合格となります。

また、税理士試験は科目合格制度をとっているため一度に5科目合格する必要はなく、1科目ごとに合格を積み上げていくことができます。

税理士試験の受験資格について

税理士試験は公認会計士試験や司法試験とは違い、受験するためには一定の受験資格を満たさなければなりません。なお、税理士試験の受験資格は令和4年の税制改正によって改正され、令和5年以降は以下のようになりました。

会計2科目の受験資格

簿記論・財務諸表論に関しては受験資格が不要となり、誰でも受けられるようになりました。

税法9科目の受験資格

簿記論・財務諸表論を除く税法9科目に関しては、受験資格を得るために以下のどれかを1つ以上満たす必要があります。

  • 学識による受験資格
  • 資格による受験資格
  • 職歴による受験資格
学識による受験資格

以下の要件を1つ以上満たすと、学識による受験資格が得られます。

  • 大学、短大または高等専門学校を卒業した者で、社会科学を1科目以上履修した者
  • 大学3年次以上で、社会科学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
  • 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、社会科学を1科目以上履修した者
  • 司法試験合格者
  • 公認会計士試験の短答式試験に合格した者

なお、社会科学とは、法律学や経済学に加え、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学などを指します。

資格による受験資格

以下の要件を1つ以上満たすと、資格による受験資格が得られます。

  • 日商簿記検定1級合格者
  • 全経簿記検定上級合格者
職歴による受験資格

以下の要件を1つ以上満たすと、職歴による受験資格が得られます。

  • 法人または事業行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
  • 銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上従事した者
  • 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者

まとめ

税理士になるためには難関試験を突破しなければなりませんが、それと同じくらい大切なのは、税理士として向いているかどうかです。

本記事で紹介したような税理士としての適正さえあれば、業務の傍ら焦らずじっくりと試験勉強に取り組めば、いつかはきっと税理士になれるはずです。

税理士は、税法の知識以外にもコミュニケーション能力や語学力などさまざまな能力を武器に業務が行える非常に魅力的な職業です。自分らしさを活かしながら、あなたが描く理想の税理士を作り上げて下さい。

私たちは、不動産税理士事務所として、あなたの力が最大限発揮できる場所を提供します。

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監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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