税理士のキャリアとは?新時代の税理士事務所が解説

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

税理士試験などに合格し、税理士会に登録を済ませた時点から、税理士としての人生が始まります。どの職業でもそうですが、キャリアの積上げ方にはいくつかのルートがあり、どのルートを通るかによって到達する場所も変わります。

そこで本記事では、税理士となった以降にどのようなキャリアの積上げ方があるのか、またキャリアアップしていくためにはどのような方法があるのかなどについて解説していきます。

税理士のキャリアパスと収入

税理士試験に無事合格し、税理士となった人がその後進むルートは、大きく分けると以下の3つです。

  • 勤務税理士として働く
  • 企業内税理士として働く
  • 独立開業税理士として働く

そこでこの章では、それぞれのルートごとに、税理士としてのキャリアプランやそこで得られる想定年収などについて解説していきます。

勤務税理士として働く

勤務税理士とは、税理士事務所や税理士法人に勤務する税理士のことをいいます。税理士事務所や税理士法人などに所属して税理士として働くこのルートは、多くの税理士が一度は通るといっても過言ではない最もメジャーなルートです。

税理士資格取得前から税理士事務所などに勤務し、勉強しながら税理士となった後も引き続き働き続けるパターンや、税理士となった後で転職して勤務税理士として働くパターンなどさまざまです。

勤務先となる税理士事務所や税理士法人の形態は多種多様で、大先生を頂点として何代にもわたり地域社会の名士として貢献し続けている地元密着型の税理士事務所から、BIG4と呼ばれる四大監査法人系列の税理士法人まで、規模も業務内容も勤務形態も様々です。

また近年では、相続を専門に行う税理士法人や、不動産税務と相続税を専門に行う税理士法人なども増えつつあります。

BIG4系列の税理士法人や不動産税理士のように専門性の高い会計事務所で働く場合は、M&Aや海外進出支援・高度な専門知識を用いた節税プランニングなどの立案が求められるため業務の難易度は高くなりますが、年収1,000万円を超えるのも夢ではありません。

いっぽう、小規模な個人事務所で働く場合は、大手などと比べると年収の点でそれほど望むことはできませんが、個人の意見が通りやすい分だけ多種多様な業務を経験することができます。

このように、どの税理士法人などに勤務するかで業務内容や年収が大きく変わるのが、勤務税理士の特徴です。

企業内税理士として働く

企業内税理士とは、税理士資格取得後も税理士法人に就職したり独立開業したりするのではなく、企業内の経理部などに勤務し、税務やファイナンスの知識を生かして働く税理士のことをいいます。

税理士として幅広いキャリアを身に着けるのには向きませんが、所属する企業の規模(たとえば上場企業や外資系企業など)によっては1,000万円を超える程度の年収を得ることも十分に可能です。

また近年では、積極的なM&A戦略を展開する企業も多いため、M&Aの税務やタックスプランニングの立案などで活躍する道を選択することもできます。

独立開業税理士として働く

税理士資格を取得後、独立開業するのも税理士が選択するメジャールートのひとつです。税理士資格取得後すぐに独立開業する場合もありますが、多くは開業前に勤務税理士などである程度以上の実務経験を積んでから開業するケースがほとんどです。

一般的に、独立前の勤務税理士時代などに学んだことをベースに独立開業するため、相続税専門の事務所での勤務経験があれば相続税を中心に、医療法人専門の事務所であればやはり医療法人を中心に開業後の業務を行う傾向にあるようです。

したがって、独立開業税理士を目指す場合は、独立前までのキャリアをいかに形成していくかが独立後に大きな影響を与えるといえます。

年収については、開業して事業が軌道に乗るまでは収入が不安定な状態が続きますが、顧問先を増やしていったん安定させてしまえば、長期間にわたって2、3千万円を超える年収を得続けることも決して難しい話ではありません。

税理士からのキャリアアップ

税理士となり、前章で紹介したキャリアパスを進むにあたり、より幅広く活躍しつつ年収を上げるために欠かせないのが、税理士からのキャリアアップです。

税理士のキャリアアップとして考えられるルートは、おもに以下の2つです。

  • 専門性を高める
  • 税理士から公認会計士へ

専門性を高める

税理士のキャリアアップとして考えられる1つ目のルートが、「専門性を高める」です。税理士としての専門知識に磨きをかけ、税務を究めるのがこのルートです。

「税務を究める」といっても税法のすべてに詳しくなるわけではなく、「相続税法」や「法人税法」のように数ある税法のどれかに特化して専門知識を磨き、質の高いサービスを提供することを目指します。

たとえば、相続や贈与による資産の取得や不動産の売却には多額の税金が課税されます。こういった資産税界隈の専門性を高め、専門家ならではのタックスプランニングの立案や実行のサポートを行うことなどが考えられます。

また近年では、中小企業の海外進出もめずらしくありません。顧客の海外進出をサポートできるように、海外の税務や英語をはじめとする語学の習得も、専門性を高めるために必要な要素となるでしょう。

あるいは、海外法人や在留外国人が日本国内でビジネスを行うサポートを専門に行うサービスを提供することも考えられるでしょう。

いずれにしても、専門性を高め、他の税理士との明確な差別化をはかることで「オンリーワン」となることを目指すのが、キャリアアップとして考えられる1つ目のルートです。

税理士から公認会計士へ

もう一つのルートが、税理士から公認会計士へのキャリアアップです。公認会計士になれば、税務に加え監査業務も行えるようになるため、職域が大幅に広がります。

公認会計士の資格取得後は、監査法人に就職して上場企業の監査が行えるのはもちろんのこと、M&Aアドバイザリーとして譲渡企業の売買価額の査定や財務デューデリジェンスを行ったり、企業のCFO(最高財務責任者)に就任したりすることもあるでしょう。

もちろん、公認会計士になるためには、国家試験として最難関のひとつである公認会計士試験に合格しなければなりません。公認会計士試験の難易度は、税理士試験と同じかそれ以上といわれていますが、税理士資格を有していれば、短答式試験の財務会計論や論文式試験の租税法が免除されるため他の受験生と比べると圧倒的に優位となります。

決して楽なルートではありませんが、税理士と公認会計士のダブルキャリアを持っていればかなり幅広い業務が行えるだけに、キャリアアップとしては申し分のないルートです。

自分にあったキャリアパスを

税理士のキャリアアップには上述の2つの方法が考えられますが、どちらを選択するにしても、自分に合ったキャリアパスを選ぶことが大切です。

税理士として何を実現したいかは、人それぞれにことなります。年収を一番に挙げる人もいれば、やりがいや自由を第一に考える人もいるでしょう。ですから、他の人と同じキャリアパスを歩んだとしても、自分の望むものが手に入るかどうかは分かりません。

「自分は税理士として何をしたいのか?」「自分に向いているのはいったい何なのか?」などをよく考えたうえで、自分に合ったキャリアパスが見つかれば、求めるものが手に入る日も決して遠くはないでしょう。

まとめ

税理士は専門性の非常に高い職業ではありますが、その分だけキャリアパスの選択肢は実に豊富な職業です。専門を突き詰めてスペシャリストになる道もあれば、キャリアアップによって職域を広げゼネラリストを目指す道もあります。

年収や自由度も、アイデアや努力次第でかなりのレベルまで求めることができる理想的な仕事といえるでしょう。資格を取得するまでの道のりは決して楽ではありませんが、それを補って余りあるだけの見返りは十分に得られると思っていただいて良いでしょう。

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監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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