土地を資材置き場として活用するメリットとは?

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

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資材置き場とは

資材置き場とは、建築現場へ資材などを運ぶための一時中継地点だったり、常に建築資材を保管したりする場所のことです。
建築業界では資材置き場のことを土場とも言います。

資材置き場は建築会社があると近くに必要になりますし、大規模建築現場ができると必ず近くに資材置き場ができます。
つまり、資材置き場用地は全国で必要になるということです。
そのため、田舎の土地だとしても資材置き場としての需要があるため、郊外で土地を貸すときの大切な賃貸方法でもあります。

ここからはそんな資材置き場について紹介していきます。

土地を更地のまま業者に貸し出せる

資材置き場は更地のまま業者に貸し出すことができます。

あくまで資材を置くだけの場所のため、道路との高低差がなく、土地上に樹木などがなければそのまま貸し出すことができます。
もし、土地が雑草で覆われていたとしても草刈りだけで済むため、貸すための初期費用を抑えることができます。

資材置き場ではなく駐車場で貸そうとするとアスファルト舗装や砂利敷きが必要であったりしますが、資材置き場ではそのようなことをする必要がありません。

賃料相場と期間

資材置き場の賃料相場は固定資産税の2倍~4倍とされています。
また、資材置き場としての賃貸期間は近くに建築会社があれば長期、大規模工事現場の資材置き場なら工事期間中だけです。

また、資材置き場はあくまで資材を置くだけで借りている人の収益を生むわけではないため、賃料はそこまで高く受け取ることができません。
前述した固定資産税の2倍~4倍というのは、あくまでも市街化調整区域内の土地の固定資産税と考えてください。
市街化区域の資材置き場では、固定資産税の2倍~4倍の賃料は望めない可能性が高いです。

市街化調整区域の土地は特に人気

意外に思われるかもしれませんが、資材置き場として人気があるのは市街化調整区以内の土地です。

市街化調整区域内の土地が資材置き場として人気の理由は、賃料を抑えて土地を借りることができるからです。
市街化区域の土地はマンションやアパートなどの住宅、商業、工業とほとんどの建物を建築することができます。
しかし、市街化調整区域では原則、建物を建築することができません。
そのため、市街化調整区域内の土地は需要の問題で賃料が安くなります。

向いている土地

前述した内容をまとめると、次のような土地は資材置き場に向いている土地です。

  • 評価額が低い土地
  • 住居が建てられない土地
  • 近隣で開発や工事がある土地

この条件に当てはまる土地を貸そうと考えている方は、資材置き場に貸すことを検討されると良いでしょう。

資材置き場のメリット・デメリット

資材置き場として貸し出す前には、資材置き場として貸すことのメリットやデメリットを知っておく必要があります。
ここからは資材置き場として貸すときのメリットやデメリットを紹介していきます。

メリット

資材置き場として貸すときのメリットは次のとおりです。

  • 初期費用がかからない
  • 管理の手間がない
  • 土地の形を問わない
  • 土地の売却をせずに収益化ができる

この項目ごとに解説していきます。

初期費用がかからない

資材置き場として貸すときのメリットの1つ目は「初期費用がかからない」ことです。

資材置き場は物を置くだけの場所のため、道路との高低差がなく車両の出入りに耐えられる地盤の固ささえあれば、貸すための初期投資をする必要はありません。
ただし、田んぼなど元々地盤が弱い土地などや高低差がある土地を貸す場合は、造成費用がかかることもあるため注意が必要です。

管理の手間がない

資材置き場として貸すときのメリットの2つ目は「管理の手間がない」ことです。

資材置き場は物を置くだけの土地として貸すため、管理をする必要がありません。
住宅を貸す場合には住宅の敷地の清掃や共用部分の電灯の交換、空き家になったときのリフォーム手配など管理をする手間がかなりかかります。
資材置き場として貸した場合は、そのような手間をかけることなく貸すことが可能です。

土地の形を問わない

資材置き場として貸すときのメリットの3つ目は「土地の形を問わない」ことです。

資材置き場は物を運ぶ運搬車が入ることができる土地であれば、土地の形状は問いません。
資材置き場に出入りする運搬車は大きいため、前面道路の幅員は5

m前後、土地の間口も5m前後は確保したいところです。
土地の形状は問いませんが道が狭かったり、土地の間口が狭かったりする土地の場合は資材置き場として貸すのは難しいでしょう。

土地の売却をせずに収益化ができる

資材置き場として貸すときのメリットの4つ目は「土地の売却をせずに収益化ができる」ことです。

土地を売却することにより現金を手に入れることはできますが、土地を手放したくないという方は多くいます。
そのときには、土地を貸して収益化し現金を手に入れる方法があります。

資材置き場として貸す場合は一戸建てやマンションを貸す場合と違い郊外でも貸すことがでるため、郊外の土地だとしても無理に土地を売却する必要はありません。

デメリット

資材置き場として貸すときのデメリットは次のとおりです。

  • 収益性が低い
  • 節税効果が低い
  • 相続税の減額対象にならない
  • 周辺住宅とのトラブルになるケースもある

この項目ごとに解説していきます。

収益性が低い

資材置き場として貸すときのデメリットの1つ目は「収益性が低い」ことです。

資材置き場は物を置くだけの場所であり、借りている人の収益を生むわけではありません。
そのため、借り手が支払える賃料には限度があり、多くの賃料を受け取ることはできません。
ただ、管理の手間もなく初期費用もほとんどかからない賃貸方法なので、収益性の低さは仕方がないことだと言えます。

節税効果が低い

資材置き場として貸すときのデメリットの2つ目は「節税効果が低い」ことです。

資材置き場として貸した場合、土地の固定資産税の減税措置を受けることができません。
固定資産税は土地上に住宅が建っている場合、固定資産税の計算の基になる固定資産税評価額が下がります。
具体的には、200㎡までの部分は固定資産税評価額が6分の1に、200㎡を超える部分が3分の1になります。
そのため、土地上に空き家などがあった場合、土地の固定資産税が一気に上がることになってしまいます。

相続税の減額対象にならない

資材置き場として貸すときのデメリットの3つ目は「相続税の減額対象にならない」ことです。

資材置き場として貸すときには、更地のまま貸し出し、借り手は更地のまま使用します。
このように舗装していない土地を相続したときには、小規模宅地等の特例が利用できません。

小規模宅地等の特例とは、相続したときに一定条件を満たすと相続税の計算の基となる評価額を50%~80%減額できるという減税制度です。

本来、貸し付けている不動産を相続した場合には小規模宅地等の特例を利用することはできますが、土地上に建物が建っていなかったり、工作物(アスファルト舗装などの舗装を含む)がなかったりする場合は特例を適用できません。

周辺住宅とのトラブルになるケースもある

資材置き場として貸すときのデメリットの4つ目は「周辺住宅とのトラブルになるケースもある」ことです。

資材置き場として貸す場合、資材運搬車両が結構早い時間に資材置き場に来ます。
そのため、資材置き場の隣地が住宅になっていると、早朝から音がするということでトラブルになることがあります。
また、運搬車が頻繁に出入りするため、ホコリなどが舞ってのクレームに発展することもあります。

資材置き場としてのトラブルを防止するには、近隣住宅に資材置き場として貸すことを通知したり、借り手と早い時間の出入りは禁止する賃貸契約を締結したりして対処します。

資材置き場の活用で失敗しないためのポイント

資材置き場として土地活用し失敗しないためには、2つのポイントを押さえておく必要があります。
ここからは、資材置き場として土地活用をするときに失敗しないためのポイントを紹介していきます。

資材置き場に向いた土地かどうか確認

資材置き場の土地活用に失敗しないためのポイントの1つ目は資材置き場に向いた土地かどうか確認することが大切です。

資材置き場に向いている土地は次のような特徴があります。

  • 近くで大規模工事現場がある
  • 資材運搬車が入ることができる広い道に接しており土地の間口が広い
  • 近隣に住宅がなく車両の出入りで迷惑をかけない
  • 接している道路と土地の高さがフラット

土地活用を検討するときにこれらの資材置き場に向いている特徴に1つでも当てはまった場合は、一度資材置き場として貸し出す検討をするのが良いでしょう。

契約期間・内容・書面は弁護士や司法書士に確認してもらう

土地を資材置き場として貸すこと自体は簡単にできるかもしれませんが、貸すときの条件はしっかりと契約書に残しておく必要があります。
近隣で大規模工事現場がある場合、資材置き場として貸す期間は工事が終わるまでになります。
そのため、一定期間貸すだけだからといって賃貸借契約の内容を適当に決めてはいけません。

賃貸借契約では契約期間、内容などを明確に決めて弁護士や司法書士など契約のプロに契約内容を確認してもらうべきでしょう。
賃貸借契約の内容に抜けがある契約書や貸主側に不利な条件が記載されてしまった契約書を締結するとトラブルに発展する確率がかなり高くなってしまいます。

まとめ

資材置き場とは、建築資材を置く多場所です。
大規模工事現場などがあると建築会社は資材置き場を確保しなければならないため、土地を借りようと工事現場周辺の貸し土地を探します。

工事現場は市街地だけではなく郊外や田舎でも行われるため、住居系賃貸需要がない場所でも資材置き場として土地を貸すことができます。
しかも、資材置き場として貸すときに初期費用がほぼかからず貸すことができます。
ただ、収益性が低いなどのデメリットもあるため、資材置き場として貸し出すときのメリットとデメリットは把握しておく必要があります。

また、物を土地に置くだけと言ってもさまざまな権利関係が発生してしまうので、賃貸契約書の内容は弁護士や司法書士などに確認してもらうなど、配慮した上で賃貸借契約書を作成しましょう。
しっかりと契約のプロに内容を確認してもらえれば、無用なトラブルを防ぐことができ、管理の手間なく土地からの収益を得ることができます。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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