アパート経営の相続準備はいつから行うべき?押さえておきたいポイントを税理士が解説

この記事の執筆者 税理士 藤井 幹久

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

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国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査(2020年度)」では、約6割の方が相続に関する話し合いをしていないと回答しています。アパート経営の相続は事前準備をしなければ、トラブルに発展するため注意してください。
今回は、アパート経営の相続について詳しく解説します。この記事を読めば、アパート経営の相続準備の大切さや準備方法が分かります。ぜひ、アパート経営者で相続にお悩みの方は記事をお読みください。

アパート経営(賃貸経営)の相続はいつから準備する?

結論からお伝えすると、アパート経営(賃貸経営)の相続の準備は早いほど良いです。早期に相続を検討しておくことで、次のような対策が講じられます。

1.事業継承対策

早期に相続の準備を行えば、アパート経営の後継人に賃貸経営の事業状況が共有できます。事業状況の共有や賃貸経営に関するノウハウの伝授など、事業継承には相応の労力と時間がかかるので注意しなければいけません。生前に後継人に事業継承したい旨を伝えておけば、後継人は不動産会社に就職して不動産知識を学ぶなど対策が講じられます。

2.認知症対策

アパート経営者は認知症を患う恐れがあることを自覚して相続対策を講じておきましょう。内閣府「平成29年版高齢社会白書(概要版)」では、2025年には約5人に1人が認知症になると発表されています。
アパート経営者が認知症になれば判断能力がないとみなされて、賃貸経営に関する法律行為が制限されてしまい、賃貸借契約の締結・解除、建物修繕などが行えません。このようなトラブルを防止するために、家族信託や共同経営など認知症対策を講じておきましょう。

3.遺産分割対策

アパート経営など不動産相続は揉めやすいため、早期に対策を講じておきましょう。現預金は相続人同士で分割できますが、不動産は均等に分割できず協議がまとまりづらいです。また、アパートを売却して現金化する場合でも、不動産の評価方法で意見が分かれる場合があります。残された家族が遺産分割で揉めないように、生前に相続に関して話し合っておきましょう。

4.節税対策

アパート経営の相続税は金銭で一括納付しなければいけません。相続税は大きな負担となるため、配偶者や子供たちに負荷がかからないように節税対策を講じましょう。事業継承をする場合は生前贈与を選択する方が多いですが、贈与税の計算方法として「暦年課税」と「相続時精算課税」が選べます。どちらの計算方法にもメリット・デメリットがあるため、税理士から節税対策のアドバイスをもらってください。

  • 暦年課税…………1年間に受けた贈与金額が110万円(基礎控除額)を超えた場合に課税される
  • 相続時精算課税…2,500万円までは非課税で、2,500万円を超えた場合は20%課税される

5.納税資金対策

アパート経営を相続させたい場合は相続税が発生するため、納税資金を確保しておきましょう。相続税は金銭による一括納付が求められます。配偶者や子供に相続税の支払いの負荷を与えないように資金を準備しておきましょう。

【相続税の概算目安(※配偶者と子ども2人を想定)】

  • 相続財産1億円の場合………約300万円
  • 相続財産3億円の場合………約2,800万円
  • 相続財産5億円の場合………約6,500万円

アパート経営(賃貸経営)の相続で押さえておきたいポイント

アパート経営(賃貸経営)の相続は事前準備が大切だと理解して頂けたはずです。相続の準備として何を行えば良いのでしょうか?次にアパート経営の相続で押さえておきたいポイントをご紹介します。

後継者を決めておく

最初にアパート経営の後継者を決めましょう。後継者は1人でも複数人でも問題ありません。アパート経営を引く継ぐ意欲の高い人を後継者に選んでください。また、後継者以外が遺産分割の割合に不満を抱かないように、事業収益の中から代償分割用の資金を貯めておくと揉めずに済みます。

承継資産を整理しておく

アパート経営の事業継承を行うために、承継資産(物・金・情報)を整理しておきましょう。

建物や土地
(※不動産評価額や後継者の納税負担額を調べておく)
運転資金
(※キャッシュフロー表を作成しておく)
情報 情報(入居者状況、管理会社情報、修繕履歴、修繕計画、入居者からの要望など)

引き継ぐ方法を確定しておく

アパート経営の事業継承の方法には、(1)相続(2)生前贈与(3)法人化(4)家族信託があります。

(1)相続

アパート経営者が亡くなった後に配偶者や子供に事業継承することをいいます。相続により事業継承を受けた後継者は相続税を納めなければいけません。発生する相続税の納税額が負担となる恐れがあるため注意してください。

(2)生前贈与

生前に贈与で配偶者や子供に事業継承することをいいます。生前贈与により事業承継を受けた後継人は贈与税を納めなければいけません。贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方法があります。

(3)法人化

個人事業の賃貸経営を法人化して事業継承することもできます。法人化する場合は不動産取得税や登録免許税を納付しなければいけません。また、会計業務が厳格化されます。法人化の恩恵は賃貸経営の収入額で大きく変わります。したがって、法人化を検討している方は税理士に相談してみてください。

(4)家族信託

家族信託とは資産を保有する者が、特定の目的に従って家族に資産を託すことをいいます。家族信託を利用すれば、アパート経営者が元気なときに、アパート経営をお任せできます。
アパート経営者が認知症になっても、賃貸経営を家族にお任せできるので注目を浴びている事業継承方法です。

アパート経営(賃貸経営)の相続なら「マルイシ税理士法人」

アパート経営の相続にお悩みの方は「マルイシ税理士法人」へご相談ください。ここでは、マルイシ税理士法人に相談するメリットをご紹介します。

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マルイシ税理士法人は不動産と相続に専門特化した税理士法人です。不動産と相続の専門家として、新聞・テレビ・雑誌・書籍など幅広いメディアで活動してきました。不動産に精通しており、税務顧問から相続対策まで幅広いサービスを提供しています。アパート経営の相続の悩み相談では、お客様1人1人に合う事業継承方法を提案いたします。

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マルイシ税理士法人は、アパート経営者の利益を最優先する姿勢を大切にしています。営業を目的とした「商談」ではなく、アパート経営者の悩みを解決する「相談」を意識しています。
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まとめ

アパート経営の相続を早期に検討しなければ、事業継承が上手くいかなかったり、遺産分割時に家族が揉めたりします。配偶者や子供に負担をかけないためにも、早期にアパート経営の事業継承について検討してみてください。事業規模や年間収益により、どのような事業継承が良いかが変わります。
この記事を読み、アパート経営の相続に興味を持った方は「マルイシ税理士法人」へご相談ください。不動産と税務に特化した税理士集団が、お客様に最適な相続方法を提案させていただきます。

監修者情報

税理士

藤井 幹久

Fujii Mikihisa

マルイシ税理士法人の代表税理士です。責任者として、相談業務から申告実務までの税理士業務に取り組んでおります。また、不動産税務と相続税・相続対策を主として、提携の税理士やコンサルタント及び弁護士等の他の士業と協業しながら、「不動産と相続」の問題解決に努めております。

相談業務を最も大切に考えており、多いときには月に100件以上の相談対応をしています。セミナー・研修の講師や執筆を数多く行っており、「大手不動産会社の全国営業マン向け税務研修の講師」「専門誌での連載コラムの執筆」「書籍の執筆」など多くの実績があります。

税理士業界の専門誌において「不動産と相続のエキスパート税理士」として特集されるなど、その専門性の高さと実績を注目されている税理士です。

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